台風がもたらすやさしさ

沖縄ではじめて直撃を体験した台風は、超強力で度肝をぬかれました。

町を断続的に駆け抜けるヒューーーーーっという中高音の風の音が、不気味に宙空に鳴り響き、雨しぶきや木の葉とともに吹き抜ける風の横殴り力がすさまじく、そこにさらに上塗りで叩きつけるような突風が畳み掛けます。

自然の猛威に、久しぶりに脅威を覚えつつ、不謹慎かもしれませんが、すごいものを見てどこか興奮している自分もいました。

「この風を生身の体で受け止めたらどうなるんだろう?」なんて考えて、思わず外に出たい気持ちにもなりましたが、部屋のベランダにどこからか飛んできた50センチ四方ほどのトタンを見て、「これあたったら確実に死ぬな…。」と悟り、断念しました(^^;;

多くの被害をもたらした台風ですが、沖縄に毎年必ず台風が訪れることで、海面の温度が下がり、それが珊瑚が生きるために欠かせない自然の仕組みとなっているらしいです。

世界有数の美しさを誇る沖縄の海の青さには、珊瑚が大きく関わっています。

その珊瑚の生育に台風が必要不可欠なのです。

また以前、沖縄の農業に関わる社長さんからお聞きしたのですが、台風がミネラルたっぷりの沖縄の海水を大地に吹き上げることによって、農地の土が肥えて、農作物が豊かに実るそうで、最近は台風の上陸回数が少なくなっていることを懸念されていました。

さて、今回の台風で、ぼくが働くお店も間接的に被害を受けました。

台風当日は幸い停電もなく、店舗もゴミ箱が少し飛ばされた程度で特に大きな欠損はありませんでした。

台風が去った翌日は日曜日で無事営業を再開できたのですが、おそらく流通がストップし、スーパーなどに物資がないのも手伝って、お昼は爆発的にたくさんのお客様にご来店いただけました。

さあ、この調子でいけば、おやすみした土曜日ぶんの売り上げを取り戻せるぞと意気込み、夜の部の営業に差し掛かった夕方6時半ごろです。

陽は落ちて、駐車場にある大看板のライトをつけるべく、厨房の壁にあるスイッチをオンにした瞬間、『バチン!』という音とともに店内のブレーカーが全部落ち、お店の中が真っ暗になってしまいました。

お客様に「申し訳ありません、ブレーカーが落ちてしまいました(超汗)。」とお声掛けし、慌てながらブレーカーを入出力を繰り返し、復旧を急ぎました。

しかし、どうやら看板のコンセントが前日の大風で外れていて、おそらく電源の方に水が入るなどしたかで、スイッチを入れたとたんにショートしたようで、どうあがいても電気が付きません。

あたりは、すでに日没して、夕闇が微かに残るあかるさ、あと、ご近所の看板や街頭の灯りが店内にうっすら差し込む程度でした。

客席に3組のお客様がいて、すでに食事中で、ほんとに申し訳ありませんでしたが、再度ひと席ずつまわってお詫びし、そのまま食べていただくようお願いしました。

高校生のスタッフ二人が勤務してくれていたので、彼女たちのスマホの懐中電灯機能で、特に光が差し込まないテーブル席を照らしてもらうようお願いしました。

すると、お客様が、「こんな暗闇で食べるのも悪くないし、なんかさらに美味しく感じるよ〜。だから大丈夫だよ。」と優しい言葉でお断りくださったそうです。

あー、南風原(沖縄県島尻郡。お店はそこにあります。)の人たちは優しいな。

きっと台風とともに暮らしていることもあり、こういったトラブルにおおらかで寛容なんだなーと、とてもあたたかな気持ちになりました。

暗闇だからこそ美味しく感じるっていう感性も素敵だし、けなげにスマホ照らす女子高生スタッフに遠慮してくださり、ユーモアを交えて断る思いやりも素晴らしいと思いました。

その日は、ぼくの力では復旧出来ず、閉店せざるを得ませんでしたが、台風が来たことによって、人のやさしさに触れて、自分もトラブルに見舞われたときこそ、まわりを思いやれるようになりたいと、学びを得ることができました(^^)

被害に遭われた方や、復旧が進まない場所の一日も早い回復を心よりお祈りいたします。

一方で、自然の猛威がもたらすものには、マイナス面だけではなく、その恩恵には感謝することも大切だと思いました。

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